努力と結果の不思議な関係

 「努力と結果の不思議な関係、そして救い。」


昨年、美術館で開催した個展。その節にお世話になった東広島市から、宅配便が届きました。

開けると、ワニか蛇の皮のような、どこか懐かしい模様の筒。

中には市長からの感謝状と、寄贈した作品のリスト、そして温かなメッセージが添えられていました。


実は、今回寄贈した作品群は、メインの巨大なプロジェクトの傍らで、会期までの残り2ヶ月、猛烈なスピードで形にしたものでした。

メインの作品には、予算も、時間も、すべてを注ぎ込み、自分や周囲の精神的な負担も多大でした。

けれど、広い美術館を埋めるには、その1点だけでは足りなかった。

東広島の酒造り、自然、などを、赤瓦を軸に展開した作品群。

世界中の「午前8時15分」を繋いだインスタレーション。

戦中戦後の腕時計の傷跡から持ち主の記憶を辿る写真。

これらメインでない作品群は「時間がなかったから」と言えばそれまでですが、すごいスピードで夢中でシャッターを切り、制作中に誰も苦しませることはありませんでした(図録の締切で学芸員さんをハラハラさせたこと以外は……笑)。


いざ蓋を開けてみると、観客の方々の「好きな一枚」は見事に分かれました。

あんなに苦労したメイン作品と同じくらい、あるいはそれ以上に、急ピッチで仕上げた作品たちが誰かの心に深く刺さっている。

「努力と効果は必ずしも比例しない」という事実は、常に一枚に時間をかける私にとって、少しの戸惑いと、大きな発見を与えてくれました。


正直、今回の個展では動員数の数字を見ては「市に多大な協力をいただいたのに」と申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

けれど、こうして感謝状をいただき、作品が市民の皆さんの財産として末長く残っていく。その事実に、ようやく自分を許せた気がします。

小学生の頃に賞状をもらった時のような、純粋な喜び。

作品たちが東広島の地でこれからも誰かと対話を続けてくれる。

作家として、これ以上の幸せはありません。





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