展示の成果
岡本太郎現代芸術賞展が幕を閉じました。 展示が終わると、あの濃密だった空間は解体され、形としてはなくなります。作家がどれほど熱量を注いでも、展示という事実は過去のものになり、装置としての役目を終えれば、何も手元に残らない寂しさだけが残ります。 けれど、今回の私には手元に残ったものがありました。「お手紙プロジェクト」を通じて届いた、11枚の直筆の手紙です。 作家が作品を通じて鑑賞者に影響を与えるように、鑑賞者の言葉もまた、作家を形作っていきます。 思えば、学生時代の卒業制作の時もそうでした。現在の「Manda-la」の原型となる、身近な人々を撮影した作品群を展示した時のことです。美大の仲間や親族、バイト先の子、教習所で知り合った看護師さん、近所のおじいちゃん。年齢も職業もバラバラな20名ほどを被写体にした展示でした。 その時、置いておいたメモ帳に残されていた匿名の一言が、私の人生に深く刻まれることになります。 「あなたの写真にはあなたしか写ってません」 その残酷な言葉は、当時の私を憤慨させ、失望させ、長い間考え込ませ続けました。けれど、四半世紀が経った今、その言葉は私の中で全く違う輝きを放っています。「どんな人を撮っても、自分しか映らないなんて、俺はすごい」と。長年続けていくうちに、解釈が変わる言葉もあるのです。 そして今回、そんな過去の記憶を呼び起こすような、不思議なメッセージに出会いました。 「うさみさんへ みんな生きている人間で面白かったです。 みほ」 ぎこちない筆跡で書かれた、この短い言葉。 正直に言えば、言葉としての正確な意味はわかりません。 けれど、この一文は、私の心の奥深くを揺さぶり、離れない「装置」であり続けています。写真は、言葉で説明し尽くせるものではありません。言葉の力を超えて、何かが伝わってしまう瞬間にこそ、その真価があると思っています。 みほさんの言葉も、それと同じでした。理屈や意味を飛び越えて、私の創作の根底にある「何か大切なもの」を、真っ直ぐに射抜かれたような感覚。 「みんな生きている人間で面白かったです。」 展示という空間はなくなっても、こうして残った言葉が私のそばにあり...